ソフトシリカニュース 畜産特集

昭和58年9月10日 発行

もうかる畜産経営を目ざして...

 「畜産用ソフトシリカ」は、全国的な傾向として、畜産農家の間でのクチコミで需要が伸びてきた商品である。和牛肥育の主産地である岩手県・長野県の両県をはじめとして、九州や関西そして関東から東北へと広まりつつある現状だ。市場関係者の間でも「ソフトシリカ」の名前は知られつつあり、京都市場・芝浦市場・畜連関係者などからの問い合わせがふえつつある。
 「上肉率を向上出来ない技術レベルならば、畜産業から手を引くべきだ」というきびしい指摘がなされている現状だ。
 現実問題としても、牛肉の輸入自由化の波が押し寄せている。このような危機感も、つねに上肉の高比率生産をしている農家なら、ほとんど不安感は持っていないのである。「相場に左右されるのは、牛づくりが下手だからだ」という篤農家がいた。
 「病気を出したり、保険をもらったり、薬や添加剤をやたらに使うようではもうかるはずがない」このような問題を根本から解決する方法は?各地の優良生産者の声を集めてみた。(新聞・雑誌報道より抜粋)

優良生産者の声

病気知らずで肉質向上 -フン尿は畑・水田に還元-

 岩手県紫波町の北条隆治さんは「生きものには土を食わせてやる必要があると思っていた」と話す。10年も前からソフトシリカを黒毛和牛の肥育に利用している。
 北条さんはソフトシリカに出会うまで、牧草造成地の土や山土などを持ってきて、牛に食わせることを試みたが、いずれも失敗した。同じ山土でも熱処理されて珪酸が主成分というソフトシリカを見て「間違いなくこれだ!!」と思ったという。北条さんのユニークさは粗飼料に現われている。「稲ワラは珪酸が主成分。濃厚飼料に5%のシリカを混ぜており珪酸は充分だと思う」――濃厚飼料は自家配合で、6割が圧ペン大麦でタンパク質を大豆カスで調整する。
 肥育牛でのソフトシリカの効果は「軟便がなくなり、病気が出なくなった」と話す。「見学に来た人が、フンを手でつかんでみて、いつもこんな状態かと驚いていた」と語ってくれた。肉質では「肉を見ればソフトシリカを使っているかいないかの区別がつく」というほどだ。「余分な脂肪をつけずに、サシのはいる率が高くなる」と確信していた。
 「牛の肥育の場合、やはり系統だと思う。兵庫から導入しているが、放牧した牛を買うようにしている。平均で1キロ2,000円はいっている」出荷月齢は32ヶ月が目標。出荷体重は630キロ前後とし、700キロは越えない。

「獣医さん知らず」の和牛肥育!-サイレージの2次発酵防止にも-

 秋田県羽後町の柴田幸助さんは黒毛和牛の一貫経営だ。平均出荷月齢30~34ヶ月で660キ口が目標。過去6年間の平均では、1頭当たり価格で84万円。
 柴田さんのところでは「獣医さん知らず」という。その秘けつは「牛をよく見ることー―観察すること」「よく食う牛は健康だ」と話す柴田さんのエサは、自家配合と草とサイレージ。(自家配合は単味のフスマ・圧ペン麦・大豆カス。粗飼料はワラ・デントコーンサイレージ・牧草サイレージ・河川敷の雑草の乾草。その他に4月から10月までは毎日、青草を1日1頭当たり15~40キロずつ与えている)
 「今の粗飼料は固さが足りない」そのために雑草を無理しても与えている。柴田さんがソフトシリカに注目したのは「人間に良いものは、動物にも良いはずだ」ということからだった。食わせてからの効果としては「下痢がとまったこと」であった。与え方は朝給餌の時に1頭にひとつかみずつである。
 ソフトシリカはサイレージ調整にも使っている。サイレージ18~20トンに対してソフトシリカを180キ ロ。(交互にサンドイッチ状に積み込む)
 「2次発酵がなくなり、サイレージの出来上がりの色が違う。ソフトシリカは水分調・水質浄化の役割もするようだ」と話してくれた。
 出荷先は東京・芝浦の市場で、最後の枝肉になるまで見届けにいく。
 「ウチの牛は、肉を見れば枝肉になってもズバッと分かります。肉の色が黒くないし、赤すぎてもいない。これもソフトシリカの効果だと思う」肉質や枝肉の色上がリまでにも、眼力を通した貴重な経験を明快に話してくれた熱心な生産者であった。

ウインドレス豚舎でストレス解消-上物率9割-

 秋田県湯沢市の大山俊太郎さんは繁殖豚50頭の一貫経営。年間 1,000頭の出荷が目標。繁殖は2回転で、1回平均で産子は9頭。雄はデカルブの合成豚を利用。飼料は完全配合。出荷目標は105キロ以上で165日。上物率9割を確保している。
 
肉豚はウインドレス豚舎で飼育するが「坪当たり5頭の密飼いをしており、どうしても豚にストレスがたまる。そのために土を食わせてやリたい」と思ったのが、ソフトシリカとの出合いで、使用してから6年目になる。「初めは目に見えた効果は分からなかったが、現在の状況では肉豚には夏場のエサの効果が違う。親豚には下痢がない」と効果に確信を持っていた。ソフトシリカの具体的な利用法は、エサの3%混入法だ。結果として便秘や下痢が防げるという。フン尿処理も楽になった。しかも「脱臭効果もある」と認めていた。エサにはビタミン類は添加するが、抗生物質は使わない。「薬代は減ってくるし、病気の豚が少なくなった」ということでもあった。
大山さんのフン尿処理は、オガクズと混ぜて発酵させる。この堆肥を近くの野菜農家へ販売しているが、「これまで堆肥で問題を起こしたことはない」といい切った。

肥育牛コーナー=安全食品を目ざして=

亜酸白土で健康肉
(西日本新聞・昭和57年度)

 

 『少しでも高く売れる牛肉』をつくるための肉質改善や、悪臭を出さない環境づくりの努力を続け、成果を上げているところもある。

 新しい食事(給餌)療法が実を結んだという宮崎県都城農協(去川初男組合長 16,000人)の取り組みを紹介してみよう。


■見違えるような食欲

 肥育牛は、一般的に出荷が近づき太らせなければならない時期になると食欲が減退する。この時期にどう食べさせるかが肥育牛農家にとっては収支を左右する重要な飼育技術である。
 都城農協の肥育牛農家4,700戸 (15,000頭)の人たちは、全国各地での現地研修などを通じ、技術を磨いているが、たまたま東北・関東地方を視察した際、珪酸白土(ソフトシリカ)を飼料に混ぜて与えると牛や豚の食欲が増し、成果を上げていることを知った。
 こうしたことから55年以来、宮崎県経済連を通じて秋田県産のソフトシリカを購入。自らも70頭の肥育牛を飼育している黒木崇光・都城農協肥育牛課長補佐らがテストしたところ食欲も見違えるようになったほかいくら薬剤を与えても治らなかった牛の下痢が、わずか2、3ヶ月の使用で完治。土の粉とは思えない薬効に畜産農家は目を見張ったほどだ。
 これまで3年間にわたっていつもソフトシリカを与えている100頭飼育の長倉文翁さん(50)は「袋を見ただけで牛が寄ってくるし、食欲が出るので弱い体質の牛も健康になる。下痢する牛もいなくなった」と”薬効”を説く。


■ひと足先に豚で実績

 ソフトシリカは、有機農業推進団体・フレッシュニス研究グループ(本部久留米市、坂田隆信会長約500人)が、野菜・くだものなど植物部門で成果を上げ、近年、養豚の飼料に混ぜて与え、成果を上げている。
 フレッシュニス研究グループのメンバーでもある都城市の奥正春さん(57)は、常時120頭~130頭の豚を飼育しているが、「ソフトシリ力を与えた豚の肉質は、他の豚肉に比べてずば抜けて良い」と11月5日から福岡市中央区の博多大丸に特別出荷し、普通の豚肉より3~4割の高値で販売、好評を得ている。
 評価されている点は、①豚肉特有のいやなにおいがない ②どの部位の肉もピンク色できれい ③脂身のきめが細かいなど。奥さんは肉質がよくなる根拠について「薬漬けといわれる豚も、ソフトシリカを使えば体調が良くなり、注射がほとんど不要になるため」と説明しており、坂田会長は「牛も豚もソフトシリカを使ったものはひと目で分かるし、肉質改善に大きく貢献できそう」と話している。


■薬漬けからの脱却

 飼料に混ぜるときのソフトシリカの量は3%を標準にしており500キロ以上の和牛の場合で1回50グラ ム~100グラム。組合員の購入価格は20キロ入り1,780円だが、黒木さんは「土の粉が胃腸調整にこんなに効くとは思わなかった。健康体に良質肉が出来るのは当然で、とくに飼料効率が良くなった。薬代と思えば安いもの」という。本格的な普及はこれからだが”脱薬剤飼育法”を目ざす、健康体づくりによる肉質の改善は確かな足取りで進んでいるようだ。


■品質で大きい収入差


 都城地方の肥育牛は15,000頭でこのうち農協ルートでの年間販売頭数は5,000頭にのぼる。最近の生産態勢は、最高級肉になる黒毛和牛の場合、生後10ヵ月~11ヵ月、体重280キロ~300キロ(去勢牛で1頭27万円前後)の子牛を買い入れその後17ヵ月、生後27ヶ月程度で体重680キロ前後(68万円くらい) で出荷する。肉質は、上・中・並の3段階をそれぞれさらに3ランクに分けており、値段で見ると上が1キ 口当たり2,200円~1,900円、中が1,900円~1,500円、並が 1,500円~1,200円で「中の中」と「中の上」では1頭当たり5万円の差が生じ、年間50頭出荷する農家では250万円もの格差が出ることになる。

畜産情報

 ソフトシリカの畜産用は、日増しに需要が高まっている現状だ。「安全性と有効性」が認識され、抗生物質や各種添加剤の代用にもなっているようだ。―現在までに報道された新聞や雑誌関係の記事を特集した。(抜粋)
 濃厚飼料の多給与と、閉鎖的な環境条件下の飼育が、動物の健康を犯しやすい。このような悪条件化をのり切るために、ソフトシリカを使いこなしたい。「自然をはぐくむのは、やはり天然物である!!」―動物は昔から「清潔な土を好んで、食べていた」という本能を持っている。内臓壁に突き刺さる硬いものではなく(ゼオライト類など)、ソフトなタイプの珪酸アルミナが整腸作用を発揮している。
 難病・奇病に対する予防策として、ソフトシリカの効能に期待したい!!

乳脂率の向上(昭和50年度)

 多頭企業化経営を酪農部門で実践し成功しているのが、愛知県渥美郡田原町に住む鵜飼光夫さん(49)である。
 現在、ホルスタインのさく乳牛60頭、育成・肉用50頭を飼育して育成、さく乳・肉までを一貫生産する大規模経営である。
 ソフトシリカの導入は49年秋からで濃厚飼料に1.5%の割合で、1日2回給与している。成績はきわめて良好で、牛体が健康になり、下痢や乳房炎の発生がなくなったほか、特筆すべきは乳脂率が安定的に高まったことである。ホルスタイン種で乳脂率を4.0以上に上げるのは絶対に不可能といわれていた。鵜飼さんは最高4.2%、平均でも3.7 %~3.9%の高さを維持しているというから驚きである。この地区の平均乳脂率は3.4%~3.5%程度である。「残しや粗飼料を余分に与えると乳量はふえるが、乳脂率は下がるといわれてきた。しかし、濃厚飼料にソフトシリカを混ぜてやるようになってからは、乳量もふえるが、乳脂率も下がらないことが分か った」と鵜飼さんはいう。
 現在の取り引きでは乳脂率 3.2 %が基準価格になっていて、0.1%が80銭と計算されている。だから、この脂肪格差が適用されると、日量1トンの出荷では、毎月受け取る手取り乳代が、基準より15~16万円は多くなる。
 「酪農はうまみが少ないといわれるが、これからの勝負は、乳量そのものよりも、脂肪率の高い、低いが決め手となってきますね。この点、ソフトシリカの果たしてくれる役割は大きいと思います」と鵜飼さんは最後に話してくれた。

ソフトシリカの使用法

1.水質浄化!!
 井戸の中へブロックシリコ20キ口分(1袋)を投入する。貯水槽も準ずる。(半年から1年間の水質維持効果)―水呑み場内に1キ口分ずつのブロックシリコを投入しておく。

水質の浄化改質・腐敗防止など

2.飼料へ3%混入!!
 エサの変質・腐敗防止にもなる。飼料用タンクの中へ混入する。または工サ箱の底部と、工サの上へ振りかける方法がある。(飼料の3~5%量を)

3.サイロの2次発酵防止!!
 サイロへ飼料を積み込む時には50センチごとにソフトシリカをサンドイッチ状にはさみ込む。(薄い層ができるほど)酪酸発酵(すえたような悪臭が出る)を防ぎ、甘ずっばいかおりの乳酸発酵を促進する。(牛が喜んで食べるサイレージが出来る)

ソフトシリカの特徴●追跡研究課題として

し好性がよい!!

 牛や豚は、粉のミルクや濃厚飼料よりもソフトシリカをよく食べる。食い残しのエサに振りかけると、残したエサも食べてしまう。食いどまり時などにもたいへん有効である。

下痢がとまる!!

 動物の下痢の主原因は、食餌性のもの(工サの腐敗や食いすぎ)や胃腸内の細菌性のものなどがある。ソフトシリカを食べさせると約90%以上の確率で下痢症がとまっているとい う。(細菌性の下痢にも......)

事故率が激減する!!

 病気は出さないことが基本である。内臓を強化し、新陳代謝(毛の生え替わりや毛づやなども含めて)を向上させ、健全な生育を維持する。
「ソフトシリカで医者いらずだ」という声も出ているほどである。

肉質が向上する!!

 整腸作用を発揮するソフトシリカは初期から内臓の働きを活発にする。余分な脂肪を乗せずに、後期の食いどまりも少ない。結果として、増体率も向上し肉質もよくなる。和牛などではサシの入りがよくなったという声が多い。

水づくりに!!

 動物にとって、毎日飲む水の質は大きな問題となっている。水質が悪ければ、どんなによい管理をしても肉質はよくならず、病気も出やすい。ソフトシリカ(ブロックシリコも含む)は水質を改良し、ミネラルイオン水とする。井戸水・貯水用のタンク・水呑み場などに使用し、改質水を飲用させるとよい。

サイレージの中へ!!

 とくに牛の場合には、サイレージ内の2次発酵が大きな問題である。ソフトシリカをサンドイッチ状に積み込むだけで、2次発酵を防止し乳酸発酵を促進する。(静菌作用で菌のバランスを整える)虫もわかず芳香を持った良質のものができる。

Q&A

Q.下痢どめになるソフトシリカの働きを分かりやすく教えてください―茨城県

A.水質が悪い場合などには、腐敗の原因である酪酸発酵が多くなります。(例としてはサイレージの酸っぱいにおいや、漬けものの腐敗臭など)
 胃の中の理想的な発酵状態は、酢酸発酵(6割)プロピオン酸発酵(3割)酪酸発酵(1割)となっています。水質が悪い時などには、酪酸発酵の割合が多くなり、下痢などを引き起こしやすくなっています。事故率も高くなってしまいます。
 対策としては、ソフトシリカを食べさせるだけで90%以上の下痢がとまっています。胃腸内やサイレージの異常発酵を防止することと整腸作用の働きによるものでしょう。

Q.尿道結石に悩んでいます。良い方法があったら教えてください―宮城県

A.体内が酸性体質に傾くと出やすい病気です。原因はカルシウムの吸収不良によるビタミンA・Dの不足が原因でしょう。増量投与をしても、吸収されなければ意味はありません。とくにデンプンや糖質の多い大麦やフスマなどを過剰に給与した場合に多くなっています。
 対策としては、カルシウムとソフトシリカを給与してみてください。酸性体質を直し、いつの間にか尿道結石も解消する―といった多くの実例があります。

Q.酪農家ですが、乳房炎に悩まされています。対策があったら教えてください―長野県

A.牧草などに含まれやすい硝酸態チッソ(末消化態)が過剰に体内へはいってくると、ビタミン類(とくにAとD)が破壊されてしまいます。結果としてカルシウムの吸収率が低下し、乳房炎になりやすくなっているようです。
 対策としては、良質のトウモロコシ(ビタミンAが多い)とソフトシリカ(カルシウムの吸収力を高める)を与えてください。(牧草地への過剰な施肥やフン尿の大量投与に要注意==ソフトシリカを土壌へ施用してください)

△ソフト・シリカニュースをPDFで読む