岩手県紫波町の北条隆治さんは「生きものには土を食わせてやる必要があると思っていた」と話す。10年も前からソフトシリカを黒毛和牛の肥育に利用している。
北条さんはソフトシリカに出会うまで、牧草造成地の土や山土などを持ってきて、牛に食わせることを試みたが、いずれも失敗した。同じ山土でも熱処理されて珪酸が主成分というソフトシリカを見て「間違いなくこれだ!!」と思ったという。北条さんのユニークさは粗飼料に現われている。「稲ワラは珪酸が主成分。濃厚飼料に5%のシリカを混ぜており珪酸は充分だと思う」――濃厚飼料は自家配合で、6割が圧ペン大麦でタンパク質を大豆カスで調整する。
肥育牛でのソフトシリカの効果は「軟便がなくなり、病気が出なくなった」と話す。「見学に来た人が、フンを手でつかんでみて、いつもこんな状態かと驚いていた」と語ってくれた。肉質では「肉を見ればソフトシリカを使っているかいないかの区別がつく」というほどだ。「余分な脂肪をつけずに、サシのはいる率が高くなる」と確信していた。
「牛の肥育の場合、やはり系統だと思う。兵庫から導入しているが、放牧した牛を買うようにしている。平均で1キロ2,000円はいっている」出荷月齢は32ヶ月が目標。出荷体重は630キロ前後とし、700キロは越えない。