昭和57年1月10日 発行
現地便り<一口知識>
リフレッシュ単用(1000倍液又は散粉法)での予防的な効能と、葉に与える影響度を、殺菌剤と比較検討してみた。
初期予防剤として使用されているダコニールやダイセン系の農薬は、主として鉱物質の増量剤の働きによるものが多いようだ。
確かに葉は固く締まってくる。ただし葉の厚みを増すことはないようだ。
リフレッシュの散布は、病原糸体を珪酸被膜で包みこみ脱水作用を行う働きと、葉面の表皮(クチクラ層)を厚くする働きとがある。
つまり初期予防剤としては、リフレッシュの単独散布で充分だという結論を出している農家が多い。
逆に葉の厚みは増して、光合成は活発になってくるのである。
発病しても病気の広がりは鈍い。
①殺虫剤との混用は不可
①殺虫剤との混用時に展着剤不要
①液肥や他の葉面散布材との混用時に、白濁したり分離するものとの混用は不可
(キッポ、OKF2、その他)
最近では病気が同時に多発するせいか、二種混合や三種混合が多くなっている。
その結果として、葉がごわついて光合成が低下したり、薬害を引き起こしているようである。
(鉱物質の増量剤が反応しあって、高濃度の薬剤散布と同様の結果となりやすいようだ)
●正しい使い方の例
単用時----
ダコニール1000倍、
二種混合時----
ダコニール2000倍+ロブラール2000倍
以上のように農薬を半減してから混用することが必要である。
リフレッシュと混用する時には、殺菌剤を3分の1(当量)の濃度で使用すること。
減らさないと逆に効果は鈍化している。
病気のとまらない例も出ていた。
濃度障害を出しやすいのはとくに苗時であろう。
最近の例ではトマトの育苗に濃度障害が発生した。
(チッソ計算をせずに、約三倍の濃度になってしまった)
葉は極端に濃緑となり、枝が内側に巻き込むような症状を呈していた。
すぐにリフレッシュの500倍をつくり、ジョーロで葉の上からザーザーと流した。地上部ばかりではなく、地下部へも浸透し、発根力も正常に戻り、新根が見えてきた。(3日おきに数回で)
一週間後には枝の巻きこみが回復し、水平近くに戻ってきた。
菜色もひと色淡くなり、濃度障害が回復したばかりでなく、ガッチリとした苗の姿になって、花芽の流れも防げたように思えるほどだった。
栽培途中での地下部を観察したことがあるだろうか?
細根(根毛)はほとんど出ていないのが現状のようだ。
(根毛の寿命は、一週間から十日ほど)
つまりリン酸やカリの吸収量が低下しているのである。
「根が悪くなっているので、葉面散布をかけろ」という指導法が多くなっている。
しかし地下部が悪いなら発根促進剤をを送り込んでやれば、ふたたび根毛が活性化して三要素の吸収バランスが整えられるはずである。
(例として、キュウリの曲がりが少なくなったり、トマトの肥大が戻ってきたり、イチゴの着色が正常になるなど)
リフレッシュを10アール当たり1キロ分を数回送り込んでやれば、根毛が復活してくる(下葉の枯れ上りがある時は、アミノ酸一号品の1000倍液を併用する)
液肥を送る時には必ずリフレッシュと混用する習慣をつければ、根毛がつねに出るようになり、リン酸肥効も約二倍にまで高まる。(とくに容性リン酸が吸収しやすくなる)
天候不順時にも出荷ケースの落ちこみが少ない現象が出ている。
リフレッシュの吸着性は広く認められ始めてきた。
吸湿性はハウスの中の除湿に、菌糸体をミイラにするとか、ウォーターカーテンの青ヌルが取れてきたなど・・・・
とくに薬害を出しやすいのは殺虫剤に多いようだ。
薬害が見えたら、すぐにリフレッシュを散布すると”毒消し的効果”を発揮している。
ハチを飛ばして受粉を行わせるイチゴや紅小玉スイカ農業にとっては、このリフレッシュの吸着性をよく理解していただけるはずだ。
(薬中毒のハチがその日の夕方から花につくようになる)
前日にリフレッシュを散布してから、殺虫剤を使用すると薬害防止効果(珪酸被膜が葉面に!!)を発揮する。
作物をよく観察されている方ならば気づくことであろうが、予防時にリフレッシュ単用の場合と、リフレッシュと殺菌剤の3分の1との混用法とでは、生長(開花や側枝の発生、生長点の伸び)に差がついている。
もちろん作物に害のないリフレッシュ単用の方が効果は高いし、光合成も促進するので生長が早まるのである。
(栽培技術の基本は、作物をよく観察すること)
発病時には、治療効果を期待して殺菌剤3分の1当量をリフレッシュに混用する方法を用いる。
(殺菌剤は3分の1、銅剤は5分の1)
使用方法実例
キュウリの斑点細菌病、スイカの炭素病、キクの白サビ病、トマトのタンソ病、ブドウのベト病など難病に多数の実例あり。
農業活性化の第一歩は?競争力強化とバイオマス開発の先駆的命題
(一)昭和五十五年の冷夏に続き、北関東以北地域は五十六年度も異常低温と台風十五号による被害で痛めつけられ、散々な目にあった。
日本列島の1/3に相当する地域が重なる深傷を負ったことは、新年経済に愈々暗雲を厚く垂れこめることになろう。
昭和五十七年度については、石油価格の高値安定で兎も角メドがついているーーと呑気に構えてなぞいられない厳しい悪要因が昭和五十六年の出来秋に決定づけられたのである。
かつての高度経済成長を支えたのは農村の購買活動力だった。
自動車・電化製品から農機類、肥料農薬・配合飼料とあらゆる工業製品を”近代化”目標で買進んでくれた。
絶好の市場であった。
然し、1/3相当の広域で二年続きの異常気象と不作に見舞われ、景気沈滞は否応なしに深刻化するのは必至とみるわけだ。
肥飼料・農薬・農業資材の販売実績は軒並み大幅に低減しているという。
農家が購入を減らした分の幾割かは、自家配合とか代替物利用もあろうが、出費節約から当用手当てを削減したのも事実に違いない、背に腹は替えられないからだ。
あたかも作物栽培土壌をゴミための如く心得違いをし、迷惑千万な遺物類の投入で疲弊させてきたのだが、主に経済的制約(農家収入減)から新規投入量が減少するとの予測が立ってきたからである。
農薬資材も、「選択の時代」に入ったのである。
下痢続きの上にあれこれ押込められた重症に悩んできた作土が、やっと減食養生の機会に恵まれたのである。
土と作物の健康回復に絶好の機会が訪れる。
悲観の極が希望への転機である。
(二)農作物の品質向上と増収は営農の最高目標である。
また農家は生産原価の切り下げに何の遠慮もいらない。
肥飼料・農薬・動物薬等の自主的使用規制と出費節約は、原価縮減・合理化への始動措置である。
前者の目標値と後者の切り下げによる間隔が広がる程、農家の実質所得は増大する。
この増加所得は、憐みの補助金でも融資金でもない。
真剣な自助努力に対する正当な褒賞であり、自主活用の可能な自己資金である。
さて、農産物の品質向上・増収も、先進技術に通ずるバイオマス開発も、均しく植物の光合成を活性化しフルに営なましめることを必須条件とする。
出費節約=迷惑な異物類の投入排除、と前述したが、大自然の摂理を歪める人為的悪行を慎む程に、植物は妨害されることなく健全に育成し、光エネルギーを利用しながら自己完成を果たすのである。
有能かつ安全な資材を農家が待望していることを再考してほしい。